1988年度 宅建士試験 問11
Aは、Bに2,000万円を貸し付け、その担保のため、B所有の2,500万円の土地に売買予約による所有権移転登記請求権保全の仮登記をしたが、返済期日になってもBが返済しないので、売買予約を完結する意思を表示した。この場合、仮登記担保契約に関する法律の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
1所有権の移転は、Aが売買予約を完結する意思を表示したときに、その効力を生じる。
2所有権の移転の効力が生じると、Bは、Aが清算金を支払わなくても、移転の登記及び土地の引渡しをしなければならない。
3所有権の移転は、Aの清算金の見積額の通知がBに到達した日から2月を経過しなければ、その効力を生じない。
4所有権の移転は、AがBに清算金の見積額を通知したときに、その効力を生じる。
正解:3
解説
不正解です。民法第556条第1項では「売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる」とされていますが、本問のように債権の担保を目的として仮登記がなされた「仮登記担保」については、特別法である「仮登記担保契約に関する法律(仮登担法)」が優先的に適用されます。同法第2条第1項により、清算金見積額の通知が債務者に到達した日から2月を経過しなければ所有権移転の効力が生じないため、意思表示のみで即座に所有権が移転するわけではありません。
不正解です。仮登記担保法第3条により、債務者の「土地の明渡しおよび所有権移転の登記」義務と、債権者の「清算金の支払い」義務は同時履行の関係にあります。本問では土地価格(2,500万円)が債権額(2,000万円)を上回っており、清算金が発生するため、Aが清算金を支払わない限り、Bは土地の引渡しや登記を拒むことができます。
正解です。仮登記担保法第2条第1項の規定によれば、仮登記担保権を実行して所有権を取得しようとする場合、債権者は債務者に対して「清算金の見積額」等を通知しなければならず、その通知が債務者に到達した日から2月を経過したときに、初めて所有権移転の効力が生じます。この2ヶ月間は債務者の弁済による受戻権を保護するための「清算期間」と呼ばれます。
不正解です。仮登記担保法第2条第1項により、所有権の移転が効力を生じるのは「通知が債務者に到達した日から2月を経過したとき」です。単に通知をした(発信した)とき、あるいは通知が到達した時点では、まだ清算期間が経過していないため、所有権移転の効力は生じません。
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