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権利関係

1989年度 宅建士試験 問9

A所有しょゆう家屋かおくにつき,Aを売主うりぬし,Bを買主かいぬしとする売買契約ばいばいけいやく成立せいりつした。この場合ばあい民法みんぽう規定きていによれば,つぎ記述きじゅつのうちただしいものはどれか。
1家屋の所有権移転登記後,引渡し前に,その家屋が天災によって滅失した場合,Aは,Bに対し代金を請求することができない。
2家屋の所有権移転登記後,引渡し前に,その家屋が放火によって半焼した場合,Bは,Aに対し代金の減額を請求することができる。
3家屋の所有権移転登記後,引渡し前に,その家屋がAの失火によって焼失した場合,その契約は失効する。
4家屋の所有権移転登記が完了し,引渡し期日が過ぎたのに,Aがその引渡しをしないでいたところ,その家屋が類焼によって滅失した場合,Bは,契約を解除することができる。

正解:4

解説

<p><strong>選択肢1:</strong>誤り。民法第567条第1項の反対解釈および第536条第1項により、特定物の売買において目的物の引渡し前に当事者双方の責めに帰することができない事由(天災等)によって滅失した場合、買主は代金の支払を「拒むことができる」とされています。所有権移転登記が完了していても、リスクの移転時期は「引渡し時」が基準となるため、引渡し前であればBは支払を拒絶できますが、法的にはAの代金債権自体が当然に消滅して「請求できなくなる」わけではなく、買主に「拒絶権」が認められるという構成をとるため、記述として不適切です。</p>

<p><strong>選択肢2:</strong>誤り。引渡し前に不可抗力によって家屋が損傷(半焼)した場合、買主Bは民法第536条第1項に基づき、その損傷の程度に応じて代金の支払を「拒む」ことができます。しかし、「代金減額請求(民法第563条)」は、契約の内容に適合しない場合の救済手段(契約不適合責任)として規定されており、引渡し前の不可抗力による危険負担の場面で当然に認められる権利ではありません。引渡し前であれば、Bは履行の追完がなされるまで代金の支払を拒絶し、追完が不能であれば解除等を検討することになります。</p>

<p><strong>選択肢3:</strong>誤り。売主Aの失火(責めに帰すべき事由)によって家屋が焼失した場合、Aの引渡し債務は「履行不能」となります。この場合、買主Bは債務不履行を理由として損害賠償請求や契約の解除をすることができますが、契約が当然に「失効」するわけではありません。契約を終わらせるには、Bからの解除の意思表示が必要です。</p>

<p><strong>選択肢4:</strong>正しい。売主Aが引渡し期日を過ぎても引渡しをしない(履行遅滞)間に、不可抗力(類焼)によって家屋が滅失した場合、その履行不能は売主の責めに帰すべきものとみなされます(民法第412条の2第2項)。債務の全部が履行不能となったときは、買主Bは催告をすることなく直ちに契約を解除することができます(民法第542条第1項1号)。したがって、Bは本契約を解除することが可能です。</p>

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