1991年度 宅建士試験 問7
不動産を目的とする担保物権に関する次の記述のうち、民法の規定によれ
ば、誤っているものはどれか。
1不動産を目的とする担保物権の中には、登記なくして第三者に対抗すること
ができるものもある。
2不動産を目的とする担保物権の中には、被担保債権が将来のものであっても,
存在するものがある。
3不動産を目的とする担保物権の順位は、すべて登記の先後による。
4不動産を目的とする担保物権は,被担保債権の全部が弁済されるまでは、目
的物の全部の上にその効力を及ぼす。
正解:3
解説
正しい。民法336条は、「一般の先取特権者は、その不動産について登記をしなくても、特別担保を有しない債権者に対抗することができる。ただし、登記をした第三者に対しては、この限りでない。」と規定しています。一般先取特権(共益費用・雇用関係・葬式費用・日用品供給等の先取特権)は、登記をしなくても特別担保を有しない一般債権者に対しては対抗できるため、「登記なくして第三者に対抗することができるものもある」とする本肢は正しい記述です。
正しい。不動産を目的とする担保物権の中には、将来発生する債権を担保するものも存在します。例えば、根抵当権(民法398条の2第1項)は、一定の範囲に属する不特定の債権を担保するものであり、設定時に被担保債権が具体的に存在していなくても成立します。また、将来発生する特定の債権を担保するために抵当権を設定することも可能です。
誤り。同一の不動産に複数の抵当権が設定された場合、その相互間の順位は登記の先後によります(民法373条)。しかし、不動産担保物権の順位が「すべて」登記の先後によるわけではありません。数個の先取特権が競合する場合、その相互間の順位は登記の先後ではなく、民法331条・332条が定める法定の順序(不動産保存の先取特権→不動産工事の先取特権→不動産売買の先取特権の順)によります。さらに、不動産保存の先取特権は、保存行為完了後直ちに登記すれば、民法339条により、登記の前後にかかわらず抵当権に優先します。したがって、順位がすべて登記の先後によるとする本肢は誤りです。
正しい。これは担保物権の「不可分性」に関する記述です。民法296条(抵当権等に準用される372条等)によれば、担保物権者は、被担保債権の全部の弁済を受けるまでは、目的物の全部に対してその権利を行使することができます。債権の一部を弁済したからといって、その割合に応じて担保権が消滅することはないため、本肢は正しいです。
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