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法令上の制限

1994年度 宅建士試験 問16

不動産ふどうさんの登記とうきに関かんする次つつぎの記述きじゅつのうち, 正ただしいものはどれか。
1A 名義の所有権の登記がある土地を B に売り渡す契約が締結された後, 所有権移転の登記がされないうちに A が死亡し, C が相続をした場合には, C 名義への相続による所有権移転の登記がされなくても, B 名義への所有権移転の登記をすることができる。
2土地の表題部に A が所有者として記載されている場合に, B がその土地を買い受けたときは, B は, 売買契約書を申請書に添付すれば, 直接 B 名義の所有権保存の登記を申請することができる。
3A 名義の所有権の登記がされている土地について, B 名義への所有権移転の仮登記がされた後, A 名義から C 名義への売買による所有権移転登記がされている場合には, B は, C の登記が抹消されるまでは, 仮登記に基づく本登記をすることはできない。
4A 名義の所有権の登記に関し, B による抹消登記手続請求訴訟が提起されたことにより, 抹消予告登記がされている土地について, C 名義への所有権移転登記がされた場合において, B の勝訴判決が確定し, A 名義の登記が抹消されるときは, C の登記は, 職権で抹消される。

正解:1

法改正ポイント — 答えが「変わった」重要問題

出題当時(1994年)

肢1 が正解 ✓

現在(本試験の法令)

肢1(結論は同じ)

2005-03-07 不動産登記法全部改正(平成16年法律第123号、平成17年3月7日施行)・抹消予告登記制度の廃止

何が変わった:旧不動産登記法にあった「抹消予告登記」(登記原因の無効・取消しによる登記の抹消または回復を求める訴えが提起された事実を公示し、第三者に警告を与える制度)は、平成16年の不動産登記法全部改正により廃止された。現行の不動産登記法にはこの種の予告登記は存在しない。

この問題への影響:正解は肢1(a)のまま変わらない(売主死亡後、相続人が登記義務者として直接買主への所有権移転登記を申請できる、という実務上の取扱いは現行法でも同様)。肢4(d)は「抹消予告登記がされている土地」を前提とする記述だが、この予告登記制度自体が現行法では存在しないため、現在このような事案は生じない。もっとも肢4が誤りとされる実質的理由(第三者Cの登記を抹消するにはCの承諾または確定判決が必要であり、判決確定により当然に職権抹消されるわけではないこと)は制度廃止と無関係に現行法でも成り立ち、結論・正解番号ともに変動なし。

💡 法改正は本試験の頻出得点源です。「昔と今の違い」を押さえると差がつきます。

解説

正しい。不動産の売買契約が締結された後、所有権移転登記がなされる前に売主(A)が死亡した場合、その相続人(C)は売主としての登記義務を承継します。この場合、相続人(C)が登記義務者となって、被相続人(A)から直接買主(B)への所有権移転登記を申請することが認められています(不動産登記法第62条等に基づく実務慣行)。したがって、C名義への相続登記を経る必要はありません。

誤り。土地の所有権保存登記を申請できるのは、原則として「表題部所有者またはその相続人その他の一般承継人」等に限られます(不動産登記法第74条1項1号)。表題部所有者(A)から土地を買い受けた者(B)はこれに含まれないため、まず表題部所有者Aの名義で所有権保存登記をした上で、AからBへの所有権移転登記を行う必要があります。※区分建物の場合は特例がありますが、本肢は「土地」であるため適用されません。

誤り。所有権に関する仮登記に基づく本登記を申請する場合、登記上の利害関係を有する第三者(C)がいるときは、その第三者の承諾(承諾書等)がある場合に限り本登記を申請できます(不動産登記法第109条1項)。第三者の登記をあらかじめ抹消しておく必要はなく、本登記が実行された際に、登記官が職権で第三者(C)の登記を抹消します(同条2項)。

誤り。不動産登記の抹消を命ずる判決に基づき、前の登記(A名義)を抹消する場合であっても、その後に登記された第三者(C)の登記が職権で抹消されることはありません。BがCの登記を抹消するためには、Cの承諾を得るか、あるいはCに対しても抹消登記手続等を命ずる確定判決を得る必要があります。なお、抹消予告登記制度は平成16年の不動産登記法改正により廃止されています。

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