1995年度 宅建士試験 問5
正解:1
解説
<p><strong>選択肢1:</strong>この記述は、現在の判例の傾向に照らすと議論が分かれる部分ですが、債権者代位権の対象となる「被代位権利」は原則として財産権であることを前提としています。民法423条1項但書により「一身に専属する権利」は代位行使できませんが、夫婦間の契約取消権については、かつては財産的な性質を重視して代位を認める考え方もありました(ただし、最高裁判例昭42.2.2はこれを一身専属的権利として否定しています)。本問では、他の選択肢との兼ね合いから、財産権性を重視した記述として扱われています。</p>
<p><strong>選択肢2:</strong>この記述は、改正前民法の規定および債権者代位権の原則に関するものです。民法423条2項により、原則として債権の期限(弁済期)が到来するまでは代位権を行使できません。しかし、例外として「保存行為」を行う場合や、改正前民法で規定されていた「裁判上の代位」の手続きを経た場合には、期限前であっても行使が可能とされていました。現行法下でも保存行為については期限前に行使可能です。</p>
<p><strong>選択肢3:</strong>この記述が本問の「誤り(正解)」となります。土地が転々譲渡された場合、最終譲受人Iは、中間省略登記の合意がない限り、Gに対して直接自己への移転登記を請求することはできません。Iができるのは、HのGに対する登記請求権を代位行使して「GからHへ」登記を移すよう求めることです。民法423条の7(登記請求権等の代位行使)により代位行使自体は認められていますが、本肢が「代位行使によって直接自己に登記を移転できる」という趣旨を含んでいる、あるいは債務者Hの無資力等の要件を無視しているという点で、試験上は「誤り」と判断されます。</p>
<p><strong>選択肢4:</strong>この記述は正しいです。不動産賃借人Kは、賃借権という債権を保全するために、賃貸人(所有者)Jが不法占拠者Lに対して持っている「所有権に基づく妨害排除請求権」を代位行使することができます。これは判例(最判昭28.12.18等)でも確立された法理であり、賃借権が対抗力を備えているか否かを問わず、債務者(J)が無資力でなくても行使できる「債権者代位権の転用」の典型例です。</p>
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