1996年度 宅建士試験 問9
正解:4
解説
<p><strong>選択肢1:</strong>誤り。本問では残金の支払と建物の所有権移転登記及び引渡しは「3ヵ月後」と定められています。これは期限の利益(民法第136条)が双方にあることを意味します。買主Aが履行期前に一方的に残金を提供して履行を請求しても、売主Bには期限までの猶予があるため、Bがこれに応じないからといって直ちに債務不履行にはなりません。したがって、Aは売買契約を解除することはできません。</p>
<p><strong>選択肢2:</strong>誤り。売主の「登記・引渡し」義務と買主の「代金支払」義務は、特段の事情がない限り同時履行の関係にあります(民法第533条)。売主Bが登記のみを行い引渡しを完了していない場合、履行の提供が不完全であるため、買主Aは同時履行の抗弁権に基づき、残金5,000万円全額の支払を拒むことができます。法律上、残金の半額を支払わなければならないといった規定はありません。</p>
<p><strong>選択肢3:</strong>誤り。相手方が履行期になっても履行しない場合、契約を解除するためには原則として相当の期間を定めて履行を催告する必要があります(民法第541条)。しかし、本問のように同時履行の関係にある場合、買主Aが催告をするだけでなく、自らの債務(残金の支払)の「履行の提供」をしなければ、売主Bを履行遅滞に陥らせることができません。Aが自己の債務を提供せずに催告しただけでは、Bは同時履行の抗弁権を有したままであり、解除は認められません。</p>
<p><strong>選択肢4:</strong>正しい。買主Aが履行期に残金を提供(履行の提供)し、相当の期間を定めて催告したにもかかわらず、売主Bが建物の引渡しをしない場合、Bは履行遅滞となります。このときAは、民法第541条に基づき契約を解除することができます。また、民法第545条4項(解除権の行使は損害賠償の請求を妨げない)により、解除と併せて損害賠償請求も可能です。引渡し遅延により他で建物を賃借せざるを得なかった費用などは、相当因果関係のある損害として請求の対象となります。</p>
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