1998年度 宅建士試験 問8
正解:1
解説
<p><strong>選択肢1:</strong>この選択肢は誤りです。建物の売買契約は双務契約であり、売主Aの引渡し義務と買主Bの代金支払義務は「同時履行」の関係にあります。BがAの履行遅滞を理由に契約を解除するためには、Aの同時履行の抗弁権を失わせる必要があります。そのためには、Bは単に履行を催告するだけでなく、自己の債務である「3,000万円の提供」を(現実の提供または口頭の提供により)行う必要があります。本肢のように、代金の提供をせずに催告をしただけでは、Aを履行遅滞に陥らせることができないため、契約解除は認められません。</p>
<p><strong>選択肢2:</strong>この選択肢は正しいです。契約が解除された場合、各当事者は相手方を原状に復させる義務(原状回復義務)を負います(民法545条1項)。また、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実(使用利益)も返還しなければならないとされています(民法545条3項)。建物に入居したことによる「使用料相当額」は法定果実と同等に扱われるため、Bは建物の返還とともに、その2ヵ月分の使用利益を支払う義務があります。</p>
<p><strong>選択肢3:</strong>この選択肢は正しいです。債務者の過失により履行が不能となった場合、債権者は催告をすることなく直ちに契約を解除できます(民法542条1項1号)。契約解除の効果として、受領した金銭を返還する際は受領の時からの利息を付す必要があり(民法545条2項)、さらに解除は損害賠償の請求を妨げないため(民法545条4項)、Aの過失による履行不能であれば、Bは代金返還(利息付)に加えて損害賠償を併せて請求することが可能です。</p>
<p><strong>選択肢4:</strong>この選択肢は正しいです。民法547条の規定によれば、解除権の行使について期間の定めがない場合、相手方は解除権者に対し、相当の期間を定めてその期間内に解除するかどうかを確答すべき旨を催告することができます。この期間内に解除の通知を受けなかったときは、解除権は消滅します。本肢はまさにこの規定に沿った内容であり、期間内に通知がなければBは解除権を失い、契約を解除できなくなります。</p>
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