1999年度 宅建士試験 問10
正解:1
解説
<p><strong>選択肢1:</strong>この建物がCの所有物であっても、売買契約は当事者の合意(財産権を移転することと、これに対して代金を支払うことを約束すること)によって有効に成立します。民法上、他人の権利を売買する「他人物売買」も有効とされており、売主はその権利を取得して買主に移転する義務を負います(民法555条、561条)。したがって、Cに売却の意思がなく移転が困難な状況であっても、契約自体の成立は妨げられません。</p>
<p><strong>選択肢2:</strong>民法改正により、かつて存在した「善意の売主の解除権」の規定は削除されました。現在の民法では、売主が目的物を自己の所有に属しないことを知らなかったとしても、損害を賠償するか否かにかかわらず、売主側から一方的に契約を解除できるという特別な規定はありません。売主が義務を履行できない場合は債務不履行の一般原則に従い、買主からの解除や損害賠償請求の対象となります。</p>
<p><strong>選択肢3:</strong>買い受けた不動産に抵当権が設定されており、買主が費用を支出してその所有権を保存(抵当権を消滅)させたときは、買主は売主に対してその費用の償還を請求することができます(民法570条)。この費用償還請求権は、買主が契約締結時に抵当権の存在を知っていた(悪意)としても認められます。また、損害賠償についても、抵当権の存在が契約内容に適合しない場合は、第564条(債務不履行の規定)に基づき請求が可能であり、「賠償請求できない」とする点は誤りです。</p>
<p><strong>選択肢4:</strong>売主の契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)は無過失責任です。建物の品質に関して契約の内容に適合しない(しろあり被害がある等)場合、売主がその事実を契約締結時に知っていたかどうかにかかわらず、買主は損害賠償を請求することができます(民法562条、564条、415条)。売主が「知っていたときでないと」請求できないとする記述は、売主の責任の本質に反するため誤りです。</p>
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