2000年度 宅建士試験 問6
Aが、Bに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合に関する次の記述の
うち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1譲渡通知は、AがBに対してしなければならないが、CがAの代理人として
Bに対して通知しても差し支えない。
2Bが譲渡を承諾する相手方は,A又はCのいずれでも差し支えない。
3Aが、CとDとに二重譲渡し、それぞれについて譲渡通知をした場合で、C
に係る通知の確定日付はDに係るものより早いが、Bに対しては、Dに係る通
知がCに係る通知より先に到達したとき,Dへの債権譲渡が優先する。
4Bが、既にAに弁済していたのに、AのCに対する譲渡を異議を留めないで
承諾した場合、Bは、弁済したことをCにもAにも主張することができない。
正解:4
法改正ポイント — 答えが「変わった」重要問題
出題当時(2000年)
肢4 が正解 ✓
現在(本試験の法令)
肢4(結論は同じ)
2020-04-01 民法改正(債権法改正)・「異議を留めない承諾」による抗弁切断制度の廃止(旧468条→現468条1項)
何が変わった:旧民法468条1項では、債務者が譲渡人に対し異議をとどめない承諾をした場合、譲受人に対抗できたはずの抗弁(既に弁済していたことなど)を対抗できなくなる「抗弁の切断」という制度があった。2020年施行の民法改正によりこの制度は廃止され、現行民法468条1項では、債務者は対抗要件具備時(通知または承諾の時)までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗できると規定された。
この問題への影響:肢dは「Bは弁済したことをCにもAにも主張することができない」としているが、旧法下でも譲渡人Aに対しては元々主張できる(抗弁切断は譲受人Cとの関係でのみ生じる制度)ため誤りであり、現行法では抗弁切断制度自体が廃止されたためCに対しても主張できることになり、いずれにせよ肢dは誤り。正解番号(誤っている記述=肢d)は不変。
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解説
正しい。民法第467条1項によれば、債権譲渡の債務者に対する対抗要件は、譲渡人(A)から債務者(B)への通知、または債務者(B)の承諾です。判例によれば、譲受人(C)が譲渡人(A)の代理人として通知を行うことも認められています。ただし、譲受人が本人として(譲渡人を代理せずに)行う通知は、対抗要件として認められません。
正しい。債務者が債権譲渡を承諾する場合、その相手方は譲渡人(A)であっても譲受人(C)であっても差し支えないとされています。民法第467条1項には承諾の相手方を限定する規定はなく、どちらに対して承諾しても、債権譲渡を認めたことに変わりはないためです。
正しい。債権が二重に譲渡された場合、譲受人相互の優劣は、確定日付のある通知が「債務者に到達した時」の先後(または承諾の時)によって決まります(判例)。選択肢では、Cの通知の確定日付の方が早いものの、Bへの到達はDの通知の方が早いため、先に到達したDへの譲渡が優先されます。確定日付はあくまで対抗要件としての資格を担保するものであり、優先順位は到達時間で決まります。
誤り。2020年の民法改正により、かつて存在した「異議を留めない承諾」による抗弁の切断(弁済したことを主張できなくなる効果)の制度は廃止されました。現行の民法第468条1項では、債務者は、通知を受け、または承諾をした時(対抗要件具備時)までに譲渡人に対して生じた事由(弁済、相殺、免除など)をもって、譲受人に対抗することができると規定されています。したがって、Bは既に弁済している場合、承諾の際に異議を留めなかったとしても、譲受人Cに対して弁済済みであることを主張できます。
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