宅建合格ナビ2026
権利関係

2000年度 宅建士試験 問7

買主Aと売主Bとの間で建物の売買契約を締結し、AはBに手付を交付し たが、その手付は解約手付である旨約定した。この場合,民法の規定及び判例によ れば、次の記述のうち正しいものはどれか。
1手付の額が売買代金の額に比べて僅少である場合には,本件約定は、効力を 有しない。
2Aが、売買代金の一部を支払う等売買契約の履行に着手した場合は、Bが履 行に着手していないときでも、Aは,本件約定に基づき手付を放棄して売買契 約を解除することができない。
3Aが本件約定に基づき売買契約を解除した場合で、Aに債務不履行はなかっ たが、Bが手付の額を超える額の損害を受けたことを立証できるとき,Bは、 その損害全部の賠償を請求することができる。
4Bが本件約定に基づき売買契約を解除する場合は、Bは、Aに対して、単に 口頭で手付の額の倍額を償還することを告げて受領を催告するだけでは足りず、 これを現実に提供しなければならない。

正解:4

解説

<p><strong>選択肢1:</strong>不正解。民法上、手付の額についての制限はなく、額が売買代金に比して僅少であったとしても、当事者間で解約手付として授受された以上、その約定は有効です。したがって、「効力を有しない」とする本肢は誤りです。なお、宅地建物取引業法では手付の額に制限(代金の2割以内)がありますが、本問は民法の規定及び判例を問うています。</p>

<p><strong>選択肢2:</strong>不正解。民法第557条第1項により、手付解除ができなくなるのは「相手方が契約の履行に着手した後」です。本肢のように、買主A(解除しようとする当事者)が履行に着手していても、相手方である売主Bが履行に着手していないのであれば、Aは手付を放棄して契約を解除することができます。判例においても、自らが履行に着手していても、相手方が着手するまでは解除可能とされています。</p>

<p><strong>選択肢3:</strong>不正解。民法第557条第2項により、手付解除が行われた場合には、民法第545条第4項(損害賠償の請求)の規定は適用されないと定められています。したがって、たとえBに実際の損害が生じており、それが手付の額を超えていたとしても、Bは損害賠償を請求することはできません。手付解除は、あらかじめ損害賠償のリスクを限定する機能も持っています。</p>

<p><strong>選択肢4:</strong>正解。民法第557条第1項は、売主が手付解除をする場合、「その倍額を現実に提供して」解除しなければならないと規定しています。判例によれば、単に「倍額を支払う」と口頭で告げて受領を催告する(口頭の提供)だけでは足りず、相手方が直ちに受領できる状態で現金を提示する「現実の提供」が必要であるとされています(買主が受領を拒絶する姿勢が明確な場合は、供託まで行う必要はありませんが、提供自体は必要です)。</p>

同じ論点をもっと解く・AIチューターの解説を見るなら

無料登録してすべての過去問を解く