2001年度 宅建士試験 問2
Aが、Bに住宅用地を売却した場合の錯誤に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1Bが、Aや媒介業者の説明をよく聞き、自分でもよく調べて,これなら住宅が建てられると信じて買ったが、地下に予見できない空洞(古い防空壕)があり、建築するためには著しく巨額の費用が必要であることが判明した場合,Bは、売買契約は錯誤によって無効であると主張できる。
2売買契約に要素の錯誤があった場合は、Bに代金を貸し付けたCは、Bがその錯誤を認めず、無効を主張する意思がないときでも,Aに対し、Bに代位して、無効を主張することができる。
3Aが、今なら課税されないと信じていたが、これをBに話さないで売却した場合、後に課税されたとしても、Aは,この売買契約が錯誤によって無効であるとはいえない。
4Bは、代金をローンで支払うと定めて契約したが、Bの重大な過失によりロ一ン融資を受けることができない場合、Bは、錯誤による売買契約の無効を主張することはできない。
正解:2
法改正ポイント — 答えが「変わった」重要問題
出題当時(2001年)
肢2 が正解 ✓
現在(本試験の法令)
肢2(結論は同じ)
2020-04-01 2020年民法改正(債権法改正)
何が変わった:錯誤の効果が「無効」から「取消し」に変更された(民法95条)。また動機の錯誤(基礎とした事情の錯誤)が取消しの対象となるには、その事情が相手方に「表示」されていることが明文の要件として追加された(同条2項)。
この問題への影響:正解番号2(肢b)は不変。ただし肢1(選択肢a)の「無効」という記述は現行法では「取消し」が正しい用語となる。解説も「現在の民法において錯誤の効果は取消しであり無効ではない点でも誤り」と明示しており、肢1が誤りである理由が旧法基準の一つ(表示要件不備)に加え現行法上の用語変更でも補強されている。肢b・c・d(正しい肢群)の解説内の「無効」表記も現行法では「取消し」に読み替える必要がある。
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解説
誤り。本肢は、表意者が法律行為の基礎とした事情(住宅が建てられること)が真実に反する「基礎とした事情の錯誤(動機の錯誤)」にあたります。この場合、その事情が法律行為の基礎とされていることが相手方に「表示」されていなければなりませんが(民法95条2項)、本肢ではBが信じていただけで表示したとの記載がありません。また、現在の民法において錯誤の効果は「取消し」であり、「無効」ではない点でも本肢の記述は誤りです。
正しい。判例(最判昭45.3.26)によれば、表意者(B)が錯誤を認めている場合に限らず、Bが無資力で債権の保全が必要な場合には、Bの債権者(C)は債権者代位権に基づき、Bに代わって錯誤を主張することが可能とされています。なお、2020年の民法改正により錯誤の効果は「取消し」となりましたが、債権者代位の対象となることに変わりはありません。
正しい。課税の有無という事情は、売買契約の直接の内容ではなく「動機の錯誤(基礎とした事情の錯誤)」に該当します。この錯誤に基づき契約の効力を否定するには、その事情を相手方に表示している必要があります(民法95条2項)。AはこれをBに話さないで売却しているため、表示の要件を満たさず、Aは錯誤による取消し(無効)を主張することはできません。
正しい。民法95条3項により、錯誤が表意者の「重大な過失」によるものである場合は、原則として錯誤による取消し(無効)を主張することができません。本肢では、Bにローン不成立についての重大な過失があるため、Bは自ら錯誤を理由に売買契約の効力を否定することはできません。
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