宅建合格ナビ2026
権利関係

2002年度 宅建士試験 問8

Aは,A所有の土地を、Bに対し,1億円で売却する契約を締結し、手付金として1,000万円を受領した。Aは、決済日において,登記及び引渡し等の自己の債務の履行を提供したが、Bが,土地の値下がりを理由に残代金を支払わなかった ので、登記及び引渡しはしなかった。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
1Aは、この売買契約を解除せず、Bに対し,残代金の支払を請求し続けることができる。
2Aは、この売買契約を解除するとともに、Bに対し、売買契約締結後解除されるまでの土地の値下がりによる損害を理由として、賠償請求できる。
3AB間の売買契約締結後、この土地をCに転売する契約を締結していた場合で、Cがやはり土地の値下がりを理由としてBに代金の支払をしないとき、Bはこれを理由として、AB間の売買契約を解除することはできない。
4Bが、AB間の売買契約締結後、この土地をCに転売する契約を締結していた場合、Aは、AB間の売買契約を解除しても、Cのこの土地を取得する権利を害することはできない。

正解:4

解説

<p><strong>選択肢1:</strong>正しい。Bが代金支払義務を怠っている(履行遅滞)場合、債権者であるAは契約を解除する権利を取得しますが、必ず解除しなければならないわけではありません。契約を維持したまま、当初の契約通りBに対して残代金の支払を請求し続けることは、民法上の当然の権利として認められます。</p>

<p><strong>選択肢2:</strong>正しい。民法第545条第4項は「解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない」と定めています。また、判例によれば、債務不履行による解除の場合、契約が履行されていれば得られたはずの利益(履行利益)も賠償の対象に含まれます。したがって、売買契約締結後から解除されるまでの土地の値下がり分を損害として賠償請求することが可能です。</p>

<p><strong>選択肢3:</strong>正しい。BがAB間の契約を解除するためには、A側に債務不履行があるか、あるいは手付解除が可能である必要があります。しかし、本問ではAは履行を提供しており不履行はありません。また、Aはすでに「履行に着手(登記・引渡しの提供)」しているため、Bは手付放棄による解除(民法第557条第1項)もできません。転売先Cの支払拒絶はB・C間の問題であり、BがAとの契約を解除できる理由にはなりません。</p>

<p><strong>選択肢4:</strong>誤り。民法第545条第1項但書は、契約解除によって「第三者の権利を害することはできない」と定めていますが、判例上、この第三者として保護されるためには、不動産の場合は原則として登記等の対抗要件を備えている必要があります。本問では、Aが登記を移転せず留保しているため、転得者Cは登記を備えることができません。したがって、Cは保護される第三者に該当せず、Aは解除をもってCの権利を否定することができます。</p>

同じ論点をもっと解く・AIチューターの解説を見るなら

無料登録してすべての過去問を解く