2004年度 宅建士試験 問8
正解:4
解説
<p><strong>選択肢1:</strong>誤り。敷金返還請求権は、賃貸借が終了し、かつ、建物の明渡しが完了した時に発生します(民法622条の2第1項1号)。本問でも「明渡し完了後に支払う」との約定があります。また、民法622条の2第2項により、賃借人の側から敷金を賃料債務の弁済に充てる(相殺する)ことを請求することはできません。したがって、たとえBが支払不能であっても、明渡しが完了していない段階でAから相殺することは不可能です。</p>
<p><strong>選択肢2:</strong>誤り。民法509条により相殺が禁止されるのは、不法行為等による損害賠償債務を「受働債権」とする相殺(加害者側からの相殺)です。本肢のように、不法行為の被害者である賃借人Aが、その損害賠償請求権を「自働債権」として、通常の債務である賃料債務(受働債権)と相殺することは、何ら禁止されていません。</p>
<p><strong>選択肢3:</strong>誤り。民法508条により、時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺適状(双方の債権が弁済期にあること等)にあった場合には、その債権者は相殺をすることができます。本肢では、売買代金請求権が時効消滅した9月1日より前の8月31日に賃料債務の弁済期が到来しており、その時点で相殺適状にありました。したがって、時効消滅後の9月2日であっても、Aは相殺をすることができます。</p>
<p><strong>選択肢4:</strong>正しい。民法511条1項によれば、差押えを受けた債務者は、差押えより前に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができます。本肢において、AがBに対する貸付金債権を取得したのは賃料債権の差押え(8月20日)よりも前です。この場合、自働債権(貸付金債権)の弁済期が差押えの後に到来するものであっても、受働債権(賃料債務)の弁済期が到来すれば、Aは相殺をもって対抗することができます。</p>
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