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権利関係

2006年度 宅建士試験 問6

AがBに対して建物の建築工事を代金3,000万円で注文し、Bがこれを 完成させた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正し いものはどれか。
1請負契約の目的物たる建物に瑕疵がある場合、瑕疵の修補が可能であれば、Aは Bに対して損害賠償請求を行う前に、瑕疵の修補を請求しなければならない。
2請負契約の目的物たる建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得な い場合には、Aは当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求すること ができる。
3請負契約の目的物たる建物に瑕疵があり、瑕疵の修補に要する費用が契約代金を 超える場合には、Aは原則として請負契約を解除することができる。
4請負契約の目的物たる建物の瑕疵について、Bが瑕疵担保責任を負わない旨の特 約をした場合には、Aは当該建物の瑕疵についてBの責任を一切追及することがで きなくなる。

正解:2

法改正ポイント — 答えが「変わった」重要問題

出題当時(2006年)

肢2 が正解 ✓

現在(本試験の法令)

肢2(結論は同じ)

2020-04-01 民法改正(債権法改正)施行

何が変わった:「瑕疵担保責任」という概念が廃止され、「契約不適合責任」(民法562条〜564条)に一本化された。請負固有の瑕疵担保規定(旧634〜640条)が削除され、売買の規定が請負に準用される形に改められた。最大の変更点は、旧法では「建物その他土地の工作物については、完成後は契約を解除できない」という原則(旧635条但書)があったが、改正後はこの制限が撤廃され、建物請負でも契約不適合を理由とした解除が可能になった。

この問題への影響:正解肢2の結論(建替えに要する費用相当額の損害賠償請求可)は改正後も判例法理として維持され不変。肢1の「修補先行義務なし」という結論も不変だが、根拠条文が旧634条から改正後559条・562条・564条に変わった。肢3は旧法下でも誤り(修補費用超過が解除の原則要件ではない)だが、改正により建物完成後の解除禁止という旧規律自体が廃止され、解除可否の判断は「不履行が軽微でないか」(541条但書)に統一された。肢4の「知りながら告げなかった事実への免責特約の無効」は旧572条準用が改正後も559条・572条準用として維持され不変。答えは肢2のまま。

💡 法改正は本試験の頻出得点源です。「昔と今の違い」を押さえると差がつきます。

解説

選択肢1は誤りです。請負契約において目的物に契約不適合(瑕疵)がある場合、注文者は「履行の追完(修補)請求」と「損害賠償請求」のいずれかを選択、あるいは両方を同時に行うことができます(民法559条、562条1項、564条)。法律上、損害賠償請求を行う前に必ず修補請求をしなければならないという優先順位は定められていません。

選択肢2は正しいです。最高裁判所の判例(最判平14.9.24)によれば、建物に重大な瑕疵があり、建替えざるを得ない場合には、注文者は請負人に対し、建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができるとされています。これは、修補が不可能または著しく困難で、建物としての価値がないに等しい場合には、建替え費用が損害として認められるべきだという考えに基づいています。

選択肢3は誤りです。民法改正により、完成した建物であっても契約不適合を理由とした解除は可能になりましたが、解除が認められるのは「債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微でないとき」です(民法541条但書)。「瑕疵の修補に要する費用が契約代金を超える」こと自体が解除の原則的な要件ではなく、あくまで不適合の程度が契約の目的を達することができないほど重大であるかどうかが判断基準となります。

選択肢4は誤りです。請負人が「瑕疵担保責任(契約不適合責任)を負わない旨の特約」をした場合であっても、請負人が「知りながら告げなかった事実」については、その責任を免れることができません(民法559条、572条準用)。したがって、特約によって「一切の責任を追及することができなくなる」わけではありません。

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