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権利関係

2008年度 宅建士試験 問9

宅地建物取引業者であるAが、自らが所有している甲土地を宅地建物取引業者で ないBに売却した場合のAの責任に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定 並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
1売買契約で、Aが一切の瑕疵担保責任を負わない旨を合意したとしても、Aは甲土地の引 渡しの日から2年間は、瑕疵担保責任を負わなければならない。
2甲土地に設定されている抵当権が実行されてBが所有権を失った場合、Bが甲土地に抵当 権が設定されていることを知っていたとしても、BはAB間の売買契約を解除することがで きる。
3Bが瑕疵担保責任を追及する場合には、瑕疵の存在を知った時から1年以内にAの瑕疵担 保責任を追及する意思を裁判外で明確に告げていればよく、1年以内に訴訟を提起して瑕疵 担保責任を追及するまでの必要はない。
4売買契約で、Aは甲土地の引渡しの日から2年間だけ瑕疵担保責任を負う旨を合意したと しても、Aが知っていたのにBに告げなかった瑕疵については、瑕疵担保責任に基づく損害 賠償請求権が時効で消滅するまで、Bは当該損害賠償を請求できる。

正解:1

法改正ポイント — 答えが「変わった」重要問題

出題当時(2008年)

肢1 が正解 ✓

現在(本試験の法令)

肢1(結論は同じ)

2020-04-01 民法改正(債権法改正):瑕疵担保責任→契約不適合責任

何が変わった:2020年4月1日施行の民法改正により、売主の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に整理された。「隠れた」瑕疵であることという要件が削除され、追完請求権・代金減額請求権が明文化されたが、宅地建物取引業法40条の特約制限(引渡しの日から2年以上とする特約を除き、民法の規定より買主に不利な特約は無効)という構造自体は維持されている。

この問題への影響:正解は肢1(a)のまま不変。「一切の責任を負わない」という特約は宅建業法40条の例外(2年以上)に該当しないため無効となり、無効となった場合は民法の原則(現行法では、買主が契約不適合を知った時から1年以内に通知)が適用されるという結論は現行法でも同じ。用語のみ「瑕疵担保責任」→「契約不適合責任」に読み替える必要がある。

💡 法改正は本試験の頻出得点源です。「昔と今の違い」を押さえると差がつきます。

解説

本肢は誤りです。宅建業法40条では、自ら売主となる宅建業者は、瑕疵担保責任(契約不適合責任)の通知期間について「引渡しの日から2年以上」とする特約を除き、民法よりも買主に不利な特約をしてはならないと定めています(同条1項)。「一切の責任を負わない」という特約は民法よりも買主に不利であり無効となります。特約が無効となった場合は、民法の原則である「買主が不適合を知った時から1年以内」に通知すればよいという規定が適用されます。本肢のように「引渡しの日から2年間」に短縮されるわけではないため、本肢は誤りです。

本肢は正しいです。抵当権などの担保権が実行されて買主が所有権を失った場合、買主はその抵当権の設定を知っていたかどうかにかかわらず、契約を解除することができます(民法541条、542条)。担保権による制限がある場合、買主の保護を優先するため、悪意(知っていた)の買主にも解除権が認められています。

本肢は正しいです。民法566条に規定される「知った時から1年以内」の通知は、売主に対して瑕疵の内容を具体的に示し、責任を追及する意思を明確に伝えることで足ります(最高裁判例)。この通知は裁判外で行えばよく、1年以内に必ずしも訴訟を提起(裁判上の請求)する必要はありません。

本肢は正しいです。宅建業法40条に基づき「引渡しの日から2年間」という有効な特約を定めていたとしても、売主(宅建業者)が知っていて買主に告げなかった瑕疵については、その特約を適用して責任を免れることはできません(民法572条の趣旨)。したがって、この場合、買主は損害賠償請求権が時効(権利を行使できると知った時から5年、行使できる時から10年)で消滅するまで、Aに対して損害賠償を請求することができます。

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