2010年度 宅建士試験 問3
所有権及びそれ以外の財産権の取得時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1土地の賃借権は、物権ではなく、契約に基づく債権であるので、土地の継続的な用益という外形的かつ客観的事実が存在したとしても、時効によって取得することはできない。
2自己の所有と信じて占有している土地の一部に、隣接する他人の土地の筆の一部が含まれていても、他の要件を満たせば、当該他人の土地の一部の所有権を時効によって取得することができる。
3時効期間は、時効の基礎たる事実が開始された時を起算点としなければならず、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。
4通行地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
正解:1
解説
<p><strong>選択肢1:</strong>誤り。土地の賃借権は債権ですが、判例(最判昭46.1.16)によれば、土地の継続的な用益という外形的客観的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときは、民法163条に基づき時効によって取得することができるとされています。「債権であるから取得できない」とする本肢は誤りです。</p>
<p><strong>選択肢2:</strong>正しい。判例(最判昭35.12.15)によれば、一筆の土地の一部についても、占有の事実が認められ、取得時効の要件を満たせば、時効によってその部分の所有権を取得することができます。必ずしも土地の全部である必要はありません。</p>
<p><strong>選択肢3:</strong>正しい。判例(大判明32.10.30)によれば、時効の起算点は、時効の基礎となる事実が開始された時であり、当事者が任意に選択することはできません。起算点を自由に選択して時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることは、時効制度の趣旨(事実状態の尊重)に反するため認められません。</p>
<p><strong>選択肢4:</strong>正しい。民法283条の規定によれば、地役権は「継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるもの」に限り、時効によって取得することができます。通行地役権の場合、単に他人の土地を通行するだけでなく、通路が開設されているなどの外形的認識が必要となります。</p>
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