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権利関係

2012年度 宅建士試験 問6

A所有の甲土地についての所有権移転登記と権利の主張に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1甲土地につき、時効により所有権を取得したBは、時効完成前にAから甲土地を購入して所有権移転登記を備えたCに対して、時効による所有権の取得を主張することができない。
2甲土地の賃借人であるDが、甲土地上に登記ある建物を有する場合に、Aから甲土地を購入したEは、所有権移転登記を備えていないときであっても、Dに対して、自らが賃貸人であることを主張することができる。
3Aが甲土地をFとGとに対して二重に譲渡してFが所有権移転登記を備えた場合に、AG間の売買契約の方がAF間の売買契約よりも先になされたことをGが立証できれば、Gは、登記がなくても、Fに対して自らが所有者であることを主張することができる。
4Aが甲土地をHとIとに対して二重に譲渡した場合において、Hが所有権移転登記を備えない間にIが甲土地を善意のJに譲渡してJが所有権移転登記を備えたときは、Iがいわゆる背信的悪意者であっても、Hは、Jに対して自らが所有者であることを主張することができない。

正解:4

解説

<p><strong>選択肢1:</strong>【誤り】時効完成「前」に土地を購入し登記を備えた者は、時効完成時における所有者(時効によって権利を失う当事者)に該当します。判例(最判昭33.8.28等)によれば、時効取得者は、時効完成時の所有者に対しては、登記がなくても所有権の取得を主張することができます。本肢は「主張することができない」としている点が誤りです。なお、時効完成「後」に所有権を取得し登記を備えた第三者に対しては、登記がなければ対抗できません。</p>

<p><strong>選択肢2:</strong>【誤り】不動産の賃貸人たる地位の移転を主張するための要件について、民法第605条の2第3項は、「不動産の譲受人は、対抗要件(所有権移転登記)を備えなければ、賃借人に対して賃貸人であることを主張することができない」と定めています。したがって、土地の購入者Eは、登記を備えていない限り、賃借人Dに対して自らが賃貸人であることを主張できません。</p>

<p><strong>選択肢3:</strong>【誤り】不動産の二重譲渡において、譲受人相互の優劣は契約の前後ではなく、「先に登記を備えたかどうか」で決まります(民法第177条)。Gが先に売買契約を締結していたとしても、先に所有権移転登記を備えたFが優先されます。GがFに対して所有権を主張するためには、原則としてFより先に登記を備える必要があります(Fが背信的悪意者に該当する場合を除きますが、本肢ではその立証についても触れられていません)。</p>

<p><strong>選択肢4:</strong>【正しい】背信的悪意者(I)からの転得者(J)が、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する「第三者」に該当するか否かは、その転得者自身を基準に判断されます(最判昭45.7.10)。Iが背信的悪意者であっても、譲受人J自身が背信的悪意者に該当しない(善意・単なる悪意である)限り、Jは第177条の「第三者」に含まれます。したがって、先に登記を備えたJに対して、登記のないHは自らの所有権を主張することができません。</p>

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