2012年度 宅建士試験 問6
正解:4
解説
<p><strong>選択肢1:</strong>【誤り】時効完成「前」に土地を購入し登記を備えた者は、時効完成時における所有者(時効によって権利を失う当事者)に該当します。判例(最判昭33.8.28等)によれば、時効取得者は、時効完成時の所有者に対しては、登記がなくても所有権の取得を主張することができます。本肢は「主張することができない」としている点が誤りです。なお、時効完成「後」に所有権を取得し登記を備えた第三者に対しては、登記がなければ対抗できません。</p>
<p><strong>選択肢2:</strong>【誤り】不動産の賃貸人たる地位の移転を主張するための要件について、民法第605条の2第3項は、「不動産の譲受人は、対抗要件(所有権移転登記)を備えなければ、賃借人に対して賃貸人であることを主張することができない」と定めています。したがって、土地の購入者Eは、登記を備えていない限り、賃借人Dに対して自らが賃貸人であることを主張できません。</p>
<p><strong>選択肢3:</strong>【誤り】不動産の二重譲渡において、譲受人相互の優劣は契約の前後ではなく、「先に登記を備えたかどうか」で決まります(民法第177条)。Gが先に売買契約を締結していたとしても、先に所有権移転登記を備えたFが優先されます。GがFに対して所有権を主張するためには、原則としてFより先に登記を備える必要があります(Fが背信的悪意者に該当する場合を除きますが、本肢ではその立証についても触れられていません)。</p>
<p><strong>選択肢4:</strong>【正しい】背信的悪意者(I)からの転得者(J)が、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する「第三者」に該当するか否かは、その転得者自身を基準に判断されます(最判昭45.7.10)。Iが背信的悪意者であっても、譲受人J自身が背信的悪意者に該当しない(善意・単なる悪意である)限り、Jは第177条の「第三者」に含まれます。したがって、先に登記を備えたJに対して、登記のないHは自らの所有権を主張することができません。</p>
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