2012年度 宅建士試験 問7
物上代位に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、物上代位を行う担保権者は、物上代位の対象とする目的物について、その払渡し又は引渡しの前に差し押さえるものとする。
1Aの抵当権設定登記があるB所有の建物の賃料債権について、Bの一般債権者が差押えをした場合には、Aは当該賃料債権に物上代位することができない。
2Aの抵当権設定登記があるB所有の建物の賃料債権について、Aが当該建物に抵当権を実行していても、当該抵当権が消滅するまでは、Aは当該賃料債権に物上代位することができる。
3Aの抵当権設定登記があるB所有の建物が火災によって焼失してしまった場合、Aは、当該建物に掛けられた火災保険契約に基づく損害保険金請求権に物上代位することができる。
4Aの抵当権設定登記があるB所有の建物について、CがBと賃貸借契約を締結した上でDに転貸していた場合、Aは、CのDに対する転貸賃料債権に当然に物上代位することはできない。
正解:1
解説
<p><strong>選択肢1:</strong>この記述は誤りです。判例(最判平10.1.30)によれば、抵当権者は、一般債権者が賃料債権を差し押さえた後であっても、第三債務者(賃借人)から債務者へ賃料が払い渡される前に自ら差し押さえれば、物上代位権を行使することができます。抵当権の優先弁済権は登記によって公示されており、一般債権者の差押えに優先するためです。したがって、「物上代位することができない」とする本肢は誤りです。</p>
<p><strong>選択肢2:</strong>この記述は正しいです。抵当権者が抵当不動産そのものに対して抵当権を実行(競売申立て)していても、その抵当権が消滅するまでは、目的物の交換価値を把握する物上代位権を並行して行使することが可能です。賃料債権は不動産の交換価値が形を変えたものであるため、抵当権が存続する限り行使を妨げられません。</p>
<p><strong>選択肢3:</strong>この記述は正しいです。民法304条1項(372条で準用)は、担保目的物の「滅失」によって債務者が受けるべき金銭等に対しても担保権の効力が及ぶと定めています。建物が火災で焼失した場合、その変形物といえる損害保険金請求権は物上代位の対象となります。</p>
<p><strong>選択肢4:</strong>この記述は正しいです。判例(最判平12.4.14)によれば、抵当権者が物上代位できる対象は、原則として抵当権設定者(所有者)が取得する賃料債権に限られます。賃借人が取得する「転貸賃料債権」は、抵当権設定者と転貸人が同視できるなどの特段の事情がない限り、当然に物上代位の対象とはなりません。</p>
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