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権利関係

2014年度 宅建士試験 問6

Aは、Bに建物の建築を注文し、完成して引渡しを受けた建物をCに対して売却 した。本件建物に瑕疵があった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、 正しいものはどれか。
1Cは、売買契約の締結の当時、本件建物に瑕疵があることを知っていた場合であっても、 瑕疵の存在を知ってから1年以内であれば、Aに対して売買契約に基づく瑕疵担保責任を追 及することができる。
2Bが建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき義務を怠ったため に本件建物に基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合には、当該瑕疵によって損害を被った Cは、特段の事情がない限り、Bに対して不法行為責任に基づく損害賠償を請求できる。
3CがBに対して本件建物の瑕疵に関して不法行為責任に基づく損害賠償を請求する場合、 当該請求ができる期間は、Cが瑕疵の存在に気付いてから1年以内である。
4本件建物に存在している瑕疵のために請負契約を締結した目的を達成することができない 場合、AはBとの契約を一方的に解除することができる。

正解:2

法改正ポイント — 答えが「変わった」重要問題

出題当時(2014年)

肢2 が正解 ✓

現在(本試験の法令)

肢2(結論は同じ)

2020-04-01 民法改正(債権法改正)2020年施行

何が変わった:①「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に制度改正・名称変更された(民法562条以下)。買主が不適合を知っていた場合、旧法では「担保責任を問えない」、現行法では562条の「契約の内容に適合しない」という要件を満たさないため責任追及不可、という枠組みで整理される(「みなされる」という明文規定はないが実質同義)。②旧民法635条(土地の工作物の完成後の請負契約解除禁止規定)が現行民法では条文として削除された。完成後の一方的解除が否定される点は判例・実務上の解釈で維持されているが、明文規定は存在しない。

この問題への影響:正解は肢2のまま不変。肢2は最高裁判例(最判平19.7.6)の「建物としての基本的安全性」理論に基づく不法行為責任であり、法改正の影響を受けない。肢1の誤りの理由は旧法「瑕疵を知っていた場合は担保責任不可」→現行法「契約の内容に適合しない要件を満たさないため責任追及不可」と説明の枠組みが変わるが結論(誤り)は同じ。肢4の誤りの理由は旧民法635条廃止後も完成建物の一方的解除は判例・実務上否定されるため結論(誤り)は同じ。

💡 法改正は本試験の頻出得点源です。「昔と今の違い」を押さえると差がつきます。

解説

不正解です。買主Cが売買契約の締結当時に瑕疵(契約不適合)があることを知っていた場合、その瑕疵は「契約の内容」に適合しているものとみなされます。したがって、Cは売主Aに対して契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)を追及することはできません。1年以内という通知期間の制限以前に、責任追及の要件を満たしません。

正解です。最高裁判所の判例(最判平19.7.6)によれば、建物の施工者(B)は、建物として備えるべき基本的な安全性を損なう瑕疵がないように配慮すべき義務を負っています。この義務を怠り、建物に基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合には、施工者は直接の契約関係にない転得者(C)に対しても、不法行為に基づく損害賠償責任を負います。これを「建物としての基本的安全性」の理論と呼びます。

不正解です。不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効は、被害者が「損害及び加害者を知った時から3年間」です(民法724条)。選択肢にある「瑕疵の存在に気付いてから1年以内」という制限は、契約上の不適合に関する通知期間(民法566条、637条)の規定であり、不法行為責任の追及には適用されません。

不正解です。本問のような建物(土地の工作物)の請負契約において、仕事が完成した後は、原則として注文者AはBとの契約を解除することができません。これは、完成した建物を解体・撤去することによる社会経済的な損失を防ぐためです(旧民法635条。現在の民法では条文としては削除されましたが、判例・実務上の解釈や、完成後の任意解除(641条)が認められない点において、一方的な解除は否定されます)。

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