2015年度 宅建士試験 問4
正解:3
解説
<p><strong>選択肢1:</strong>不正解です。時効によって所有権を取得するには、「所有の意思」をもって占有すること(自主占有)が必要です(民法162条)。賃借人として占有している場合(他主占有)、いくら長期間占有し、賃料を支払い続けても「所有の意思」があるとは認められません。したがって、相続から20年間占有を継続したとしても、賃借権の性質を承継している以上、Bは所有権を時効取得することはできません。</p>
<p><strong>選択肢2:</strong>不正解です。占有者の承継人は、自己の占有のみを主張することも、前占有者の占有を併せて主張することもできます(民法187条1項)。本肢では、父の占有(11年)とB自身の占有(9年)を合計すると20年になります。20年間、所有の意思をもって平穏かつ公然と他人の物を占有したときは、時効によって所有権を取得できる(民法162条1項)ため、「取得することはできない」とする本肢は誤りです。</p>
<p><strong>選択肢3:</strong>正解です。判例によれば、取得時効の完成前に、対象不動産の譲渡を受けて所有権移転登記を備えた第三者(C)に対しては、時効完成者(B)は登記がなくても時効による所有権取得を主張(対抗)できるとしています。時効完成の時点で、Bは「その時点の所有者」であるCに対して権利を取得したという関係になるため、Cは当事者(またはその承継人)のような立場となり、二重譲渡のような対抗関係(民法177条)にはならないからです。</p>
<p><strong>選択肢4:</strong>不正解です。農地の賃借権も、時効取得の対象となります(民法163条)。判例によれば、農地について賃貸借契約が締結され、継続的に賃料が支払われて耕作が継続されているという客観的事実がある場合には、たとえ農地法所定の許可がなくても、賃借権を時効取得することが認められています。したがって、「許可がなければ、賃借権を取得することはできない」とする本肢は誤りです。</p>
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