2016年度 宅建士試験 問30
宅地建物取引業法第 35 条に規定する重要事項の説明及び同法第 37 条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37 条書面」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1宅地建物取引業者は、建物の貸借の媒介における重要事項の説明において、借賃の額並びにその支払の時期及び方法について説明するとともに、37 条書面に記載しなければならない。
2宅地建物取引士は、重要事項の説明をする際に、相手方から求められない場合は、宅地建物取引士証を提示しなくてもよい。
3宅地建物取引業者は、37 条書面を交付する際に、相手方の同意があった場合は、書面に代えて、電磁的記録で交付することができる。
4宅地建物取引業者は、宅地建物取引士をして 37 条書面に記名押印させなければならないが、当該書面の交付は宅地建物取引士でない従業者に行わせることができる。
正解:4
法改正ポイント — 答えが「変わった」重要問題
出題当時(2016年)
肢4 が正解 ✓
現在(本試験の法令)
肢4 は不正解 ✗
2022-05-18 デジタル社会形成整備法(令和3年法律第37号)による宅地建物取引業法改正
何が変わった:2022年5月18日施行の改正により、37条書面は相手方の承諾を得て電磁的方法で提供できるようになりました(宅地建物取引業法37条4項・5項)。あわせて、宅地建物取引士による37条書面への「記名押印」は「記名」に改められ、押印は不要になりました(同法37条3項)。
この問題への影響:出題当時は、37条書面の電磁的な交付を認める肢3が誤り、宅地建物取引士の記名押印を定める肢4が正しい記述でした。現行法では、相手方の承諾があれば電磁的方法で提供できるため肢3は正しくなり、37条3項が押印を求めなくなったため肢4は誤りとなります。その結果、現行法を前提とすると正解は肢4から肢3に変わります。
→ 現行法での正解は 肢3 です。
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解説
この記述は誤りです。借賃の額並びにその支払の時期及び方法は、37条書面の必要的記載事項です(宅建業法第37条第2項第2号)。したがって「37条書面に記載しなければならない」とする後半は正しい記述です。しかし、借賃の額は重要事項の説明(宅建業法第35条)の説明事項ではありません。35条で説明が必要なのは「代金、交換差金及び借賃以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的」(同法第35条第1項第7号)であり、借賃の額そのものは含まれません。前半(重要事項説明で借賃の額を説明する)が誤りであるため、記述全体として誤りとなります。
この記述は誤りです。宅地建物取引士は、重要事項の説明を行う際、相手方からの求めの有無にかかわらず、宅地建物取引士証を提示しなければなりません(宅建業法第35条第4項)。これは義務であり、相手方の要求に左右されません。
この記述は、出題当時の法令では誤りです。出題当時の宅建業法第37条は、37条書面を書面で交付することを定めており、相手方の同意があったとしても、電磁的記録(電子メールなど)で交付することは認められていませんでした。重要事項説明書(35条書面)についても、同様に書面の交付が必要でした。なお、2022年5月18日施行の改正(デジタル社会形成整備法・令和3年法律第37号)により、宅地建物取引業者は、相手方の承諾を得て、37条書面の交付に代えて、書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供できるようになりました(宅建業法第37条第4項・第5項)。35条書面についても、相手方の承諾を得て、宅地建物取引士に電磁的方法により提供させることができます(同法第35条第8項)。したがって、現行法では肢3の記述は正しいものとなり、現行法での本問の正解は肢3です。
この記述は、出題当時の法令では正しい記述です。出題当時の宅建業法第37条第3項は、宅地建物取引業者は宅地建物取引士をして37条書面に記名押印させなければならないと定めていました。一方で、その書面を相手方に交付する行為自体は、宅地建物取引士でない従業者に行わせることができます。交付行為は宅地建物取引士の独占業務ではありません。なお、以上は出題当時(2016年)の法令に基づく解説であり、本問の正解が肢4であることも出題当時の法令を前提としたものです。2022年5月18日施行の改正(デジタル社会形成整備法・令和3年法律第37号)により押印が廃止され、現行の宅建業法第37条第3項は、宅地建物取引士に37条書面へ「記名」させることのみを定めています。そのため、「記名押印させなければならない」とする前半は現行法では成り立たず、現行法では肢4は誤りとなります(交付を宅地建物取引士でない従業者に行わせることができる点は現行法でも同じです)。
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