2016年度 宅建士試験 問38
宅地建物取引士資格登録(以下この問において「登録」という。)又は宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア 宅地建物取引士(甲県知事登録)が、乙県で宅地建物取引業に従事することとなったため乙県知事に登録の移転の申請をしたときは、移転後新たに5年を有効期間とする宅地建物取引士証の交付を受けることができる。
イ 宅地建物取引士は、取引の関係者から宅地建物取引士証の提示を求められたときは、宅地建物取引士証を提示しなければならないが、従業者証明書の提示を求められたときは、宅地建物取引業者の代表取締役である宅地建物取引士は、当該証明書がないので提示をしなくてよい。
ウ 宅地建物取引士が家庭裁判所から後見を開始する旨の審判を受けたときは、その後見人は、3月以内に、その旨を登録をしている都道府県知事に届け出なければならない。
エ 宅地建物取引士の氏名等が登載されている宅地建物取引士資格登録簿は一般の閲覧に供されることはないが、専任の宅地建物取引士は、その氏名が宅地建物取引業者名簿に登載され、当該名簿が一般の閲覧に供される。
1一つ
2二つ
3三つ
4なし
正解:1
法改正ポイント — 答えが「変わった」重要問題
出題当時(2016年)
肢1 が正解 ✓
現在(本試験の法令)
肢1 は不正解 ✗
2025-04-01 第14次地方分権一括法(令和6年法律第53号)による宅地建物取引業法改正
何が変わった:2025年4月1日施行の改正により宅地建物取引業法8条2項が再編され、宅地建物取引業者名簿の登載事項は「第四条第一項各号(第五号を除く。)に掲げる事項」と定められました。第五号=事務所ごとに置かれる専任の宅地建物取引士の氏名が明文で除外されたため、一般の閲覧に供される宅地建物取引業者名簿に専任の宅地建物取引士の氏名が登載されることはなくなりました。
この問題への影響:肢エは出題当時は正しい記述でしたが、現行法では後段「その氏名が宅地建物取引業者名簿に登載され」が成り立たず、誤りとなります。その結果ア〜エに正しいものはなくなり、現行法を前提とすると正解は「なし」に変わります。
→ 現行法での正解は 肢4 です。
💡 法改正は本試験の頻出得点源です。「昔と今の違い」を押さえると差がつきます。
解説
選択肢アは誤りです。宅地建物取引士資格登録の移転の申請をした場合、新たに交付される宅地建物取引士証の有効期間は、従前の宅地建物取引士証の有効期間の残存期間とされます(宅地建物取引業法第22条の2第5項)。新たに5年を有効期間とする宅地建物取引士証が交付されるわけではありません。受験生は、登録の移転と更新を混同しやすいため注意が必要です。
選択肢イは誤りです。宅地建物取引士は、取引の関係者から宅地建物取引士証の提示を求められたときは提示しなければなりません(宅地建物取引業法第22条の4)。また、従業者証明書については、宅地建物取引業者の代表取締役も「従業者」に含まれるため(国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」第48条第1項関係)、携帯し、提示を求められたら提示する義務があります(宅地建物取引業法第48条第1項・第2項)。役員だからといって従業者証明書が不要になるわけではありません。
選択肢ウは誤りです。宅地建物取引士が後見開始の審判を受けた場合、その本人、法定代理人または同居の親族は、その旨を30日以内に登録をしている都道府県知事に届け出なければなりません(宅地建物取引業法第21条第3号)。「3月以内」という期間が誤りであり、また届け出る義務者も限定されています。期間の誤りが受験生が間違えやすいポイントです。
選択肢エは、出題当時の法令では正しい記述です。宅地建物取引士資格登録簿は、個人情報保護の観点から一般の閲覧に供されることはありません。一方で、宅地建物取引業者名簿には、その業者の専任の宅地建物取引士の氏名が登載され(出題当時の宅地建物取引業法第8条第2項第6号)、この名簿は一般の閲覧に供されます(宅地建物取引業法第10条)。登録簿と業者名簿の閲覧に関する違いを理解することが重要です。なお、以上は出題当時(2016年)の法令に基づく解説であり、本問の正解が「一つ」であることも出題当時の法令を前提としたものです。2025年4月1日施行の改正(第14次地方分権一括法・令和6年法律第53号)により宅地建物取引業法第8条第2項が再編され、専任の宅地建物取引士の氏名は宅地建物取引業者名簿の登載事項から外れたため、現行法では肢エは誤りとなります。
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