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権利関係

2016年度 宅建士試験 問7

AがBから賃借する甲建物に、運送会社Cに雇用されているDが居眠り運転するトラックが突っ込んで甲建物の一部が損壊した場合(以下「本件事故」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはいくつあるか。なお、DはCの業務として運転をしていたものとする。 ア AはBに対し、甲建物の滅失した部分の割合に応じ、賃料の減額を請求することができる。 イ Aは、甲建物の残りの部分だけでは賃借した目的を達することができない場合、Bとの賃貸借契約を解除することができる。 ウ Cは、使用者責任に基づき、Bに対して本件事故から生じた損害を賠償した場合、Dに対して求償することができるが、その範囲が信義則上相当と認められる限度に制限される場合がある。
1一つ
2二つ
3三つ
4なし

正解:3

法改正ポイント — 答えが「変わった」重要問題

出題当時(2016年)

肢3 が正解 ✓

現在(本試験の法令)

肢3 は不正解 ✗

2020-04-01 民法611条の構成変更(賃借人の請求権構成から当然減額構成への変更、および解除できる場面の拡張)

何が変わった:evidence記載の旧611条1項(2017-04-01時点。出題年2016年は下限日2017-04-01時点の条文と改正直前2019-12-31時点の条文が一致することを実測確認した上で同一内容として採用)は『賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる』であり、賃借人が賃貸人に対して減額を『請求することができる』という請求権構成だった。evidence記載の現行611条1項は『賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される』であり、請求を要さず条文上当然に減額されるという構成に変わった。これは単なる言い回しの変化ではなく、賃借人に請求という行為を要求するか否かという法律構成そのものの変更である。イは旧法・現行法いずれでも正しく、改正の影響を受けない(現行611条2項は『滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合』へ適用場面が拡張されたが、本件のような一部滅失はどちらでも解除の対象となる)。715条はevidence上、旧法(2017-04-01時点)と現行とで条文が完全に一致しており、変更はない。

この問題への影響:アは『AはBに対し、甲建物の滅失した部分の割合に応じ、賃料の減額を請求することができる』という記述であり、evidenceの旧611条1項の文言(賃借人が減額を『請求することができる』という請求権構成)とそのまま一致する。DB上の解説自身も『2016年時点の民法第611条第1項(旧民法)によれば…賃料の減額を請求できます』『改正民法で賃料減額が「当然に減額される」と変更された点と混同しないよう注意』と明記しており、アの正誤判断が旧法の請求権構成に依拠していたことは既存データからも裏付けられる。現行611条1項ではevidence上、賃借人の請求を要さず条文上当然に減額される構成に変わっており、アが前提とする『請求することができる』という法律構成そのものが現行法には存在しない。イは旧法・現行法いずれでも正しく、改正の影響を受けない(現行611条2項は『滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合』へ適用場面が拡張されたが、本件のような一部滅失はどちらでも解除の対象となる)。ウ(715条・使用者責任)はevidence上、旧法と現行で条文が完全一致しており変更はない。以上より、現行611条1項では賃料は請求を要さず当然に減額されるため、アの『減額を請求することができる』という記述は現行法では成り立たない。その結果、正しい記述の数が出題当時と変わり、出題当時の正解 c は現行法を前提にすると成立しない。

💡 法改正は本試験の頻出得点源です。「昔と今の違い」を押さえると差がつきます。

解説

本問の記述ア、イ、ウは全て民法の規定及び判例によれば正しい記述であるため、選択肢1(一つ)は誤りです。

本問の記述ア、イ、ウは全て民法の規定及び判例によれば正しい記述であるため、選択肢2(二つ)は誤りです。

本問の記述ア、イ、ウは全て民法の規定及び判例によれば正しい記述であるため、選択肢3(三つ)が正解です。 【アの解説】 2016年時点の民法第611条第1項(旧民法)によれば、賃借物の一部が賃借人の過失によらずに滅失した場合、賃借人はその滅失部分の割合に応じて賃料の減額を請求できます。本件事故はAの過失ではないため、AはBに賃料減額を請求可能です。受験生は、2020年4月1日施行の改正民法で賃料減額が「当然に減額される」と変更された点と混同しないよう注意が必要です。 【イの解説】 2016年時点の民法第611条第2項(旧民法)によれば、賃借物の一部滅失により、残存部分だけでは賃借人が賃借の目的を達することができない場合、賃借人は賃貸借契約を解除することができます。一部滅失の場合でも、賃借の目的が達成できないほど重大な損害であれば、賃料減額だけでなく契約解除も可能である点を理解しておく必要があります。 【ウの解説】 民法第715条第1項により、使用者Cは被用者Dの業務中の不法行為について使用者責任を負い、被害者Bに損害賠償する義務があります。同条第3項は、使用者が被用者に対して求償権を行使できることを定めています。判例(最高裁昭和51年7月8日判決など)は、使用者が事業の利益を得ていることなどを考慮し、求償権の行使は信義則上相当と認められる限度に制限される場合があるとしています。受験生は、使用者責任を負う使用者が被用者に対して全額求償できるわけではない点、また全く求償できないわけでもない点に注意が必要です。

本問の記述ア、イ、ウは全て民法の規定及び判例によれば正しい記述であるため、選択肢4(なし)は誤りです。

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