2020年度(10月試験) 宅建士試験 問4
建物の賃貸借契約が期間満了により終了した場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、賃貸借契約は、令和6年7月1日付けで締結され、原状回復義務について特段の合意はないものとする。
1賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合、通常の使用及び収益によって生じた損耗も含めてその損傷を原状に復する義務を負う。
2賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合、賃借人の帰責事由の有無にかかわらず、その損傷を原状に復する義務を負う。
3賃借人から敷金の返還請求を受けた賃貸人は、賃貸物の返還を受けるまでは、これを拒むことができる。
4賃借人は、未払賃料債務がある場合、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てるよう請求することができる。
正解:3
解説
1 誤り。賃借人は、賃貸借契約が終了したときは、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(ただし、「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗」及び「賃借物の経年変化」を除く。)がある場合、その損傷を原状に復する義務を負う(民法621条本文)。したがって、通常の使用及び収益によって生じた損耗については原状回復義務を負わない。「通常損耗も含めて」義務を負うとする点が誤り。
2 誤り。賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合、その損傷を原状に復する義務を負いますが、この義務の対象となる損傷は「賃借人の責めに帰することができない事由によるものを除く」とされています(民法621条本文)。したがって、「賃借人の帰責事由の有無にかかわらず」義務を負うとする記述は誤りです。
3 正しい。賃貸人は、賃貸借が終了し、「かつ」、賃貸物の返還を受けたときに、賃借人に対し、預かった敷金から未払賃料等の債務額を控除した残額を返還しなければならない(民法622条の2第1項1号)。これは、賃借物の返還が敷金返還の前提条件であり、両者が同時履行の関係にはないことを意味する。したがって、賃貸人は、賃借人から敷金の返還請求を受けても、賃貸物の返還を受けるまではこれを拒むことができる。
4 誤り。賃貸人は、賃借人が賃料等の金銭債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。しかし、この場合において、「賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない」(民法622条の2第2項)。
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