2020年度(10月試験) 宅建士試験 問6
正解:3
解説
1 誤り。意思表示に対応する意思を欠く錯誤(表示の錯誤)があり、それが法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものである場合でも、表意者Aに「重大な過失」があったときは、原則として取り消すことができない(民法95条3項)。相手方Bが表意者の錯誤を知らず、かつ、知らないことについて過失がない(善意無過失である)以上、例外(相手方が悪意もしくは重過失である場合(同項1号)、または相手方も同一の錯誤に陥っていた場合(同項2号))にも該当しないため、Aは錯誤による取消しができない。
2 誤り。法律行為の基礎とした事情についての認識が真実に反する錯誤(動機の錯誤)は、その事情が法律行為の基礎とされていることが「表示」されていたときに限り、取消しの対象となる(民法95条1項2号、2項)。本問では、Aは壺の時価を10万円程度と思い込んでいるが、その動機(時価に関する認識)をBに表示していない(「手元にお金がない」という売却理由の表示のみ)。したがって、動機の錯誤を理由とする取消しはできない。
3 正しい。動機の錯誤(名匠の絵画を贋作と思い込み)について、その事情(贋作であること)が法律行為の基礎とされ、かつ、相手方Bに表示されているため、取消しの対象となりうる(民法95条1項2号、2項)。さらに、相手方Bも同様に贋作だと思い込んでいる(共通錯誤)。この場合、たとえ表意者Aに重大な過失があったとしても、相手方Bが表意者と同一の錯誤に陥っていたときは、Aは錯誤による取消しをすることができる(同条3項2号)。
4 誤り。為替レートの計算間違いにより、100万円で売るつもりが80万円(8,000ドル×100円/ドル)で売ると表示してしまった場合、意思表示に対応する意思を欠く錯誤(表示の錯誤)があり、金額の差から法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものといえる。しかし、表意者Aに「重大な過失」があり、相手方Bが表意者の錯誤を知らず、かつ、知らないことについて過失がない(善意無過失である)ため、Aは原則として取り消すことができない(民法95条3項本文)。例外事由(同項1号、2号)にも該当しない。
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