2021年度(10月試験) 宅建士試験 問2
正解:2
解説
1 連帯債務者の一人について生じた事由は、原則として他の連帯債務者に対して効力を生じません(相対的効力の原則、民法441条)。債権者による連帯債務者の一人に対する裁判上の請求は、時効の完成猶予・更新事由ですが(民法147条1項)、これも相対効の事由です。したがって、DがAに対して裁判上の請求を行っても、その効力はBとCには及ばず、BとCの債務の消滅時効の完成には影響しません。よって、本記述は正しいです。
2 連帯債務者の一人Bが債権者Dに対して債権を有する場合において、Bが相殺を援用しない間は、他の連帯債務者Cは、Bの負担部分(本問では300万円の3分の1である100万円)の限度において、債権者Dに対して債務の履行を拒むことができる(民法439条2項)。しかし、これはあくまで履行を拒絶できる権利であり、C自身がBの有する債権を用いて相殺の意思表示をすることはできない。相殺は債権を有するB自身が行うべきものである。したがって、「Cは、BのDに対する債権で相殺する旨の意思表示をすることができる」という記述は誤りである。
3 連帯債務者の一人について生じた事由は、原則として他の連帯債務者に対して効力を生じない(相対的効力の原則、民法441条本文)。債務の免除も相対効の事由の一つである(改正前の民法では絶対効とされていたが、令和2年4月1日施行の改正民法により変更された)。したがって、債権者Dが連帯債務者の一人Cに対して債務を免除しても、その効力はCにのみ生じ、他の連帯債務者AおよびBの債務には影響しない。よって、特段の合意がなければ、DはAに対してもBに対しても、依然として300万円全額の支払を請求することができる。したがって、記述は正しい。
4 連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する(民法438条)。これは連帯債務における絶対的効力事由の一つである。したがって、AとDとの間に更改があった場合、Dが有していた300万円の連帯債務は、Aのみならず、BおよびCに対しても消滅する。したがって、記述は正しい。
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