2021年度(10月試験) 宅建士試験 問5
次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1令和6年4月1日において18歳の者は成年であるので、その時点で、養子縁組の養親になることができる。
2養育費は、子供が未成熟であって経済的に自立することを期待することができない期間を対象として支払われるものであるから、子供が成年に達したときは、当然に養育費の支払義務が終了する。
3営業を許された未成年者が、その営業に関するか否かにかかわらず、第三者から法定代理人の同意なく負担付贈与を受けた場合には、法定代理人は当該行為を取り消すことができない。
4意思能力を有しないときに行った不動産の売買契約は、後見開始の審判を受けているか否かにかかわらず効力を有しない。
正解:4
法改正ポイント — 答えが「変わった」重要問題
出題当時(2021年)
肢d が正解 ✓
現在(本試験の法令)
肢d(結論は同じ)
2022-04-01 民法改正・成年年齢引き下げ(令和4年)
何が変わった:成年年齢が20歳から18歳に引き下げられた(民法4条)。ただし養親になれる年齢要件(民法792条)は改正後も20歳のまま据え置かれ、成年(18歳)であっても20歳未満の者は養親になれない。
この問題への影響:正解肢dの内容(意思能力なき法律行為の無効・民法3条の2)は改正の影響を受けない。肢aが誤りである理由の枠組みが変化しており、改正前は「18歳は未成年かつ養親不可」だったが、改正後は「18歳は成年だが養親要件(792条)は20歳のまま=依然として養親不可」という二段構えの誤りになった。答えは同じdで変わらない。
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解説
成年年齢は、令和4年4月1日に施行された民法改正により、20歳から18歳に引き下げられた(民法4条)。したがって、令和6年4月1日時点で18歳の者は成年である。しかし、養親となる者の年齢要件については、成年年齢の引き下げ後も変更されず、従前どおり20歳に達した者でなければ養親となることができないと定められている(民法792条)。よって、18歳の者は成年であっても、まだ養親になることはできない。記述は誤りである。
養育費は、子の監護に要する費用であり(民法766条1項参照)、親が経済的に自立していない未成熟の子に対して負う扶養義務に基づいて支払われるものである。未成熟子であるかどうかは、必ずしも成年(令和4年4月1日以降は18歳)に達したかどうかのみで判断されるわけではなく、経済的な自立の有無が基準となる。判例においても、成年に達していても大学在学中など経済的に自立していない場合には、親は扶養義務を負い、養育費の支払義務が継続する場合があるとされている。したがって、「子供が成年に達したときは、当然に養育費の支払義務が終了する」という記述は誤りである。
未成年者が一種又は数種の営業を許された場合、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する(民法6条1項)。したがって、その営業に関する行為(負担付贈与を含む)については、法定代理人の同意なく行うことができ、法定代理人はこれを取り消すことができない。しかし、許された営業に関しない法律行為については、原則どおり法定代理人の同意が必要であり(民法5条1項)、同意なく行われた行為は取り消すことができる。本肢は「その営業に関するか否かにかかわらず」法定代理人が取り消すことができないとしているため、営業に関しない行為まで含んでおり、その部分について誤りである。
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効とする(民法3条の2)。意思能力とは、自己の行為の結果を判断できる精神能力をいい、一般に幼児、泥酔者、重度の精神上の障害がある者などが意思能力を有しないとされる。意思表示が無効となるためには、意思能力を有しない状態で意思表示をしたという事実があれば足り、後見開始の審判を受けている(成年被後見人である)か否かは問わない。したがって、記述は正しい。
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