2021年度(10月試験) 宅建士試験 問8
正解:1
解説
1 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う(民法717条1項本文)。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない(同項ただし書)。本問では、Aが甲建物をCから賃借している場合、Aは占有者にあたる。Aが損害の発生の防止に必要な注意をしなかった場合には、原則どおり占有者であるAが被害者Bに対して不法行為責任(工作物責任)を負う。したがって、「必要な注意をしなかったとしても、Bに対して不法行為責任を負わない」という記述は誤りである。
2 土地の工作物の設置又は保存の瑕疵により損害が生じた場合、第一次的には占有者が責任を負うが、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない(民法717条1項ただし書)。所有者の責任は、占有者のように注意義務の履行によって免責されることはなく、無過失責任である。本問でAが甲建物を所有している場合、Aは占有者であると同時に所有者でもある。仮に占有者として必要な注意をしていたとしても、所有者としての責任は免れず、無過失で責任を負う。したがって、「必要な注意をしたとしても、Bに対して不法行為責任を負う」という記述は正しい。
3 不法行為による損害賠償の請求権は、①被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間(人の生命又は身体を害する不法行為の場合は5年間)行使しないとき、又は、②不法行為の時から20年間行使しないときに、時効によって消滅する(民法724条、724条の2)。②の「不法行為の時から20年間」という期間は、損害や加害者の認識にかかわらず進行する(いわゆる除斥期間としての性質も持つ)。したがって、B又はBの法定代理人が損害又は加害者を知らないときでも、本件事故(不法行為)の時から20年間行使しないときには時効により消滅する。記述は正しい。
4 不法行為による損害賠償請求権は、原則として被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときに時効によって消滅する(民法724条1号)。しかし、人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権については、この期間が5年間に伸長される(民法724条の2)。本件事故では通行人Bがケガをしているため、「人の身体を害する不法行為」に該当する。したがって、BのAに対する損害賠償請求権は、B又はBの法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年間行使しないときには時効により消滅する。記述は正しい。
同じ論点をもっと解く・AIチューターの解説を見るなら
無料登録してすべての過去問を解く