2025年度 宅建士試験 問9
連帯債務者の一人について生じた次の事由のうち、民法の規定によれば、他の連帯債務者に対して効力が生じないものとして正しいものはどれか。なお、この問において、連帯債務者の一人について生じた事由が他の連帯債務者に対して効力が生じる旨の別段の意思表示はないものとする。
1債権者がした連帯債務者の一人に対する履行の請求
2連帯債務者の一人と債権者との間の混同
3連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者がした相殺の援用
4連帯債務者の一人と債権者との間の更改
正解:1
法改正ポイント — 答えが「変わった」重要問題
出題当時(2025年)
肢1 が正解 ✓
現在(本試験の法令)
肢1(結論は同じ)
2020-04-01 令和2年民法改正(連帯債務の絶対的効力事由縮小)
何が変わった:改正前(旧民法434条)は、連帯債務者の一人への「履行の請求」は絶対的効力を持ち、時効の更新等が他の連帯債務者にも及んでいた。改正後(現行民法441条)は「履行の請求」が絶対的効力事由から除外され、別段の意思表示がない限り相対的効力のみとなった。
この問題への影響:肢1(履行の請求)は改正前なら「絶対的効力あり=他に効力が生じる」ため「他に効力が生じないもの」として正解にならなかったが、改正後は「相対的効力=他に効力が生じない」となり現行法下では正解となる。正解番号1は現行法でも成立(答えは変わっていない)が、旧法知識で学んだ受験生が逆に解答してしまうリスクがある典型論点。
💡 法改正は本試験の頻出得点源です。「昔と今の違い」を押さえると差がつきます。
解説
正しい。連帯債務者の一人に対する履行の請求は、民法441条の原則(相対的効力)が適用される事由です。2020年の民法改正により、履行の請求は絶対的効力事由から除外されました。したがって、別段の意思表示がない限り、一人の連帯債務者に対して履行の請求をしても、その効力(時効の完成猶予など)は他の連帯債務者に対して生じません。
誤り。連帯債務者の一人と債権者との間の混同は、民法440条により「絶対的効力」を有します。連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は弁済をしたものとみなされるため、他の連帯債務者に対してもその効力が生じ、債務が消滅します。
誤り。連帯債務者の一人が相殺を援用することは、民法439条1項により「絶対的効力」を有します。連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有しており、その一人が相殺を援用したときは、債権は全ての連帯債務者の利益のために消滅するため、他の連帯債務者に対しても効力が生じます。
誤り。連帯債務者の一人と債権者との間の更改は、民法438条により「絶対的効力」を有します。連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は全ての連帯債務者の利益のために消滅するため、他の連帯債務者に対しても効力が生じます。
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