宅建士試験には、宅建業に従事している人だけが利用できる「5問免除」という制度があります。登録講習を修了し修了試験に合格すると、本試験問題の一部が免除される仕組みですが、対象者・費用・申込みのタイミングを誤解している受験生は少なくありません。本記事では公式情報をもとに制度の骨格を整理します。
5問免除(登録講習)とはどんな制度か
「登録講習」は、宅地建物取引業法第16条第3項に基づき、国土交通大臣の登録を受けた「登録講習機関」が実施する講習です。国土交通省のサイトには、登録番号002〜039の中から29機関(2026年7月時点・欠番あり)が登録講習機関として掲載されています。
この講習を修了し、修了試験に合格すると「登録講習修了者」となり、修了試験合格日から3年以内に実施される宅地建物取引士資格試験において、問題の一部(5問)が免除されます。つまり、講習修了は一生ものではなく、「合格から3年以内の試験」という期限付きの効力である点がポイントです。
対象者は「宅建業従事者」に限られる
登録講習を受講できるのは、宅地建物取引業に従事している人で、受講申込時から講習受講修了日まで有効な「宅建業従業者証明書」(宅建業法第48条第1項に基づくもの)を持っている人に限られます。学生や、宅建業以外の業種で働いている一般の受験者は、そもそも対象外です。
一方で、雇用形態については正社員・パート・アルバイト・役員などを問わず、勤務先が宅建業従業者証明書を発行できる状態であれば受講可能とされています。「宅建業の会社に勤めているかどうか」が唯一の分かれ目になる、と理解しておくとよいでしょう。
登録講習の流れと修了試験
登録講習機関ごとに詳細な運営方法は異なりますが、一例として、通信講習(約2か月)とスクーリング(2日間)を組み合わせた形式があります。講義形式(映像講義か対面講義か等)は機関によって異なります。スクーリング最終日に修了試験が実施され、一定の正解率をクリアすると「登録講習修了者」として認められ、後日修了証明書が交付される、という運用例が確認できます。
受講の申込みには、宅建業法施行規則に定める様式の「従業者証明書の写し」の提出が必要になるケースがあります。講習のカリキュラムや修了試験の基準は実施機関によって差があるため、申込み前に各機関の公式案内を必ず確認してください。
メリット・デメリットを整理する
メリットとして分かりやすいのは、本試験で5問分が免除される点です。ただし、免除対象者は試験時間も5問分短く設定されるため、「解く問題が減って残りの問題に時間の余裕ができる」という単純な話ではありません。実質的なメリットは、①合否判定が45問ベースで行われるため免除された5問の出来不出来に合否を左右されないこと、②免除される分野(統計や土地・建物に関する出題など)の対策にかける時間を、他の分野の学習に回せることの2点だと考えるとよいでしょう。免除は加点ではなく「その5問を解かなくてよい」という制度である点も、あわせて押さえておきましょう。
一方でデメリットもあります。通信講習とスクーリングを受けるための時間的な拘束が発生すること、そして受講費用がかかることです。受講費用は実施機関により異なり、統一された公式価格があるわけではないため、複数の実施機関の案内を比較検討することをおすすめします。また、この制度は宅建業従事者専用であり、宅建業に従事していない受験者はそもそも利用できません。
申込みはいつ・どこで?「登録実務講習」との違いに注意
登録講習は、試験実施年の中で講習の実施期間や修了試験のスケジュールが決められています。具体的な申込み時期は登録講習機関ごとに異なるため、「試験本番から逆算して余裕を持って動く」という意識が重要です。国土交通省のサイトに掲載されている登録講習機関一覧から、自分の勤務状況や希望スケジュールに合う実施機関を選び、各機関の公式サイトで申込み期間と受講費用を確認しましょう。
なお、名称が似ている「登録実務講習」という別の制度も存在するため注意が必要です。これは宅建士資格に合格した後、実務経験が2年未満の人が資格を「登録」するために受ける講習であり、宅地建物取引業法施行規則第13条の16第1号に基づく制度です。5問免除の対象となる「登録講習」とは目的も対象者もまったく異なる制度なので、混同しないようにしましょう。
まとめ
5問免除(登録講習)は、宅建業従事者だけが利用できる、試験問題の一部を免除する制度です。①宅建業従業者証明書を持つ人が対象、②登録講習を修了し修了試験に合格すると、③合格日から3年以内の試験で5問が免除される、という3点が制度の骨格です。ただし試験時間も5問分短縮されるため、単純な時間的余裕というより「合否判定が45問ベースになる」「免除分野の対策が不要になる」ことが実質的なメリットです。受講費用やスケジュールは実施機関ごとに異なるため、国土交通省の登録講習機関一覧から候補を絞り込み、各機関の公式情報で詳細を確認したうえで、余裕を持って申込みを進めましょう。また、名称が似ている「登録実務講習」という別制度と混同しないことも大切です。

