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自ら売主の8種制限 総まとめ|宅建業者だけに効く規制を整理

宅建合格ナビ編集部(編集方針)公開日:2026年7月20日最終更新日:2026年7月20日6分で読める

宅建業法には、宅建業者が「自ら売主」となり、買主が宅建業者でない(非業者)ときにだけ適用される特別ルールがあります。これが通称「8種制限」です。適用条件を取り違えると本試験で確実に失点するため、まずこの枠組みを固めましょう。

8種制限とは何か——効くのは「業者が売主・相手が素人」のときだけ

8種制限は、宅建業者と一般の買主との間には情報力・交渉力の差があることを前提に、買主を保護するために設けられた規制です。①自己の所有に属しない宅地建物の売買契約締結の制限(第33条の2)、②クーリング・オフ(第37条の2)、③損害賠償額の予定等の制限(第38条)、④手付の額の制限等(第39条)、⑤担保責任(契約不適合責任)についての特約の制限(第40条)、⑥手付金等の保全措置(第41条・第41条の2)、⑦割賦販売契約の解除等の制限(第42条)、⑧所有権留保等の禁止(第43条)の8つで構成されます。

ここで最重要なのは、買主が宅建業者である場合(業者間取引)には8種制限が一切適用されないという点です。「宅建業者が売主だから常に適用される」と早合点すると、業者間取引を問う問題で誤答してしまいます。

契約前〜契約時に効く4つの制限

時系列で見ると整理しやすくなります。まず契約の入口段階です。

  • 第33条の2: 宅建業者は、自己の所有に属しない宅地・建物について、自ら売主となる契約を締結できません。ただし、宅建業者がその物件を取得する契約(予約を含む)を既に結んでいるなど、取得できることが明らかな場合は例外として認められます。なお、この取得契約が停止条件付き(条件が成就しなければ取得できない契約)である場合は、取得できることが明らかとはいえないため例外に当たらない点がひっかけとして頻出します。
  • 第37条の2(クーリング・オフ): 事務所等以外の場所で買受けの申込みをした買主は、書面で撤回・解除ができます。ただし、撤回等ができる旨とその方法を書面で告げられた日から起算して「8日」を経過したとき、または宅地建物の引渡しを受けかつ代金全額を支払ったときは、この限りではありません。撤回・解除の際、業者は損害賠償や違約金を請求できません。
  • 第38条: 損害賠償額の予定と違約金を定める場合、両者を合算した額が代金の「10分の2(20%)」を超える定めはできません。この上限を超える特約をした場合、特約全体が無効になるのではなく、超えた部分のみが無効となります。
  • 第39条: 業者が受け取れる手付の額は、代金の「10分の2(20%)」を超えてはなりません。手付が交付された場合、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付放棄、売主は手付倍額を現実に提供することで契約を解除できます。相手方が履行に着手した後は、この手付解除はできなくなります。

引渡し前後に効く2つの制限

契約成立後、引渡しに向けて働くのが次の2条です。

  • 第40条(担保責任についての特約の制限): 業者が自ら売主となる場合、目的物の契約不適合について買主が通知すべき期間を「引渡しの日から2年以上」とする特約を除き、民法の規定より買主に不利な特約は無効です。
  • 第41条・第41条の2(手付金等の保全措置): 未完成物件では手付金等の合計額が代金の「100分の5(5%)」または「1,000万円」を超えるとき、完成物件では代金の「10分の1(10%)」または「1,000万円」を超えるときに、保全措置(銀行等の保証や保証保険など)を講じなければ、その手付金等を受領できません。

割賦販売のときだけ効く2つの制限

最後の2条は、代金を分割で受け取る割賦販売契約に特有のルールです。

  • 第42条: 賦払金の支払いが履行されないとき、業者は「30日以上」の相当な期間を定めて書面で催告し、その期間内に履行がなければ、契約解除や残代金の請求ができません。
  • 第43条(所有権留保等の禁止): 業者は、原則として宅地建物を引き渡すまでに、登記など引渡し以外の売主の義務を履行しなければなりません。ただし、引渡しまでに代金の「10分の3(30%)」を超える額の支払いを受けていない場合に限り、30%を超える額の支払いを受けるまでに履行すれば足ります。つまり所有権留保(登記等を先延ばしにすること)が許されるのは、受領額が代金の30%以下にとどまっている間だけです。

受験対策:数字の混同に注意

8種制限は数字が多く、似た数字が別の場面に出てくるため混同しやすいのが最大の壁です。「20%」は第38条(損害賠償額の予定+違約金の合算上限)と第39条(手付の上限)の2か所に登場しますが、対象は別物です。また、クーリング・オフの「8日」と割賦販売解除催告の「30日」も別の期間概念なので、場面ごとに整理して覚えることが有効です。保全措置の「5%(未完成物件)」と「10%(完成物件)」の対比、そして第43条の「30%」(所有権留保の限界)も頻出ポイントです。

まとめ

8種制限は「宅建業者が自ら売主・買主が非業者」のときにだけ効く特別ルールで、業者間取引には適用されません。契約前(33条の2)→契約時(37条の2・38条・39条)→引渡し前後(40条・41条)→割賦販売特有(42条・43条)という時系列で整理すると、8つの制限の位置づけが把握しやすくなります。数字が似ている条文同士を混同しないよう、条文番号と場面をセットで覚えることが得点につながります。

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